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自分と家族を守るための感染症対策、その原理原則【岩田健太郎教授・感染症から命を守る講義①】

命を守る講義①「新型コロナウイルスの真実」

◼️感染症の原則は必ず理解できます

 それでは、新型コロナウイルスについて自分で判断するために、必要な情報や知識とは何でしょうか。
それは、感染症の原則を押さえることです。
「微生物と感染症は違いますよ」とか、「感染と病気は別物ですよ」とか、「感染経路を遮断することが大事ですよ」という、原則的なところからしっかり理解を深めていくことが大切です。

 そのステップを踏まずに考えることをやめてしまうと、「○○って石鹼は殺菌の効果があるか」とか、「○○ってお茶を飲むとどうなのか」のような結論に飛びつくようになり、判断能力が衰えてしまいます。
感染症の原則は、なにも一般相対性理論とか量子力学のような、大学でも専門的に学んだ人にしか分からない「一般の方、お断り」みたいな類のものではありません。時間さえかければ必ずちゃんと身に付けることができる内容です。
学校では試験問題を速く解く能力だけが評価されていたかもしれませんが、そんなものは知性でもなんでもない。途中で諦めずに、時間をかければ、感染症の原則は必ず理解できます
それを土台にして、いろんな情報を集め、自分で判断することが大切なんです。
「こんなん風邪みたいなもんですから、気にしないでください」みたいなメッセージを伝えるつもりはありませんし、逆に恐怖を傓るつもりもありません。

 読者のみなさんに、そのときそのときでじっくりと考え、正しい判断をしてもらうために感染症の原則を身に付けてもらう。それが専門家の役割だとぼくは考えますし、身に付けた知識をどう扱うかは、一人一人に委ねるしかありません。
多くの人が新型コロナウイルスに関する適切な知識を身に付け、日々変化する状況の中でも根拠のない恐怖、あるいは根拠のない安心に惑わされずに事実を見据えて、その都度「正しく判断」できるようになる。それこそが新型コロナウイルスの感染拡大を止める土台です。

 (「新型コロナウイルスの真実②」へつづく)

【注】本書『新型コロナウイルスの真実』は現在、発売即重版となりましたが、書店の休業などで「お手元に届かない」との多くの皆さまからお問い合わせが入っております。最新刊でありますが、本書の第1章と第2章を「全文再編」連載という形で、皆様にお届けいたします。著者・岩田健太郎先生のご厚意により、最適な感染症対策への一助となるように専門家として何度もお読みいただけるようにとご配慮いただきました。皆様やご家族、多くの方々の安全を祈念申し上げます。なお全国の書店で配本されていますが、くれぐれも「外出」の際は感染経路と感染の知識を踏まえ、ご行動されることを衷心よりお願い申し上げます。

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岩田健太郎医師の最新著書『新型コロナウイルス』は現在、ネット書店で手にいれづらくなっております。こちらで購入が可能です

 

 【URL】https://bestsellers.official.ec/items/28385984

  

発売即重版3刷
『新型コロナウイルスの真実』
岩田健太郎医師・著

 

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岩田 健太郎

いわた けんたろう

1971年、島根県生まれ。神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授。神戸大学都市安全研究センター教授。NYで炭疽菌テロ、北京でSARS流行時の臨床を経験。日本では亀田総合病院(千葉県)で、感染症内科部長、同総合診療・感染症科部長を歴任。著書に『予防接種は「効く」のか?』『1秒もムダに生きない』(ともに光文社新書)、『「患者様」が医療を壊す』(新潮選書)、『主体性は数えられるか』(筑摩選書)など多数。


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